そんな今日のこと

日記
Writer
山越栞

誕生日の朝は毎年、広島の原爆投下を思い出してはじまる。

罪のない人々が、同じ人間によってもたらされたものによって亡くなり、追悼される8月6日。

世界中が忘れてはならない、死をおもう日は、私が一年でいちばん「おめでとう」と言ってもらえる日。

だからかどうかは分からないけれど、わたしは意志をもって幸せでいるんだという気持ちが、心の底の部分にいつもある。

そんな日が、30回目になりました。

今日の過ごし方は
いつもよりちょっとだけ寝坊して
妹が昨日作ったカレーをたべて、

コーヒーを淹れて、冷蔵庫に冷やして
仕事のミーティングをして、
ずっと買おうか迷っていた夏物をちょっと買い足して

「あっそういえばコーヒーがあった」と
アイスコーヒーを冷蔵庫から取り出して
「今回はまぁうまくできたな」と、飲みながら思ったりした。

そんな昼下がり、ふと見た窓辺の光がきれい。



「30歳を迎えてどう?」

と聞かれると、
「うーん、思ってたのとは違うけど、思ってたよりも好きな感じかな。」

むかしから、なりたい自分や理想の将来はなんとなくあったけれど、そのときの自分が持つ理想は、それまでの経験値や価値観の枠内でしか描けない。

だから、自分で目的地をめざして進みつつも、目の前に現れたすてきな景色や面白そうな道には、かろやかにハンドルをきっていきたいと思う。

小さくまとまらず、でも小さなことに目を向けて。

柳のように、ささやかな風に揺らぎながら、決して折れないしなやかさを持ったひとでありたいと思う30歳です。